スペシャル

監督・久保亜美香インタビュー


Interview by Anime Tamashii

URAHARAは、東京・原宿で、ファッションやスイーツなど自分たちのオリジナルグッズを扱うおしゃれなお店・PARKを、春休みの期間限定でオープンしている3人の女子高生りと・まり・ことこが、奪うだけでモノを作り出すことができない宇宙人スクーパーズとの戦いを通じてそれぞれ自分自身を見つめ直し、自分にとってクリエイティブとは何か、なぜ作りたいと思うのか、何のために作るのか、を考えるお話です。

お話の舞台となっているPARKは、クリエイターの交流の場として原宿に作られた、実際に存在するお店なので、そこに関わる人たちのリアルなドラマを大切にしたいと考え、”クリエイティブ”を中心とした、クリエイターたちの物語にしました。

また、アニメーションの制作手法やビジュアル面でも、たなか麦さんのイラストを元に、”クリエイティブであること”をキープし、全てがポストカードのようなかっこいい色・レイアウトになるよう、1カット1カットをデザインし、大切に描いています。実際の物理法則や現象を無視して自由に世界構築できるという楽しみがあるのが、アニメーションです。今回、アニメーターさんたちにはその、本来のアニメーションの楽しさを思い出して作業するようにしていただいています。

りと・まり・ことこが「自分にとってのクリエイティブ」を考え、悩み、成長する過程は、誰にでも共感し得るものだと思います。自分にとって大切な誰かや、大切な行為と向き合うこと、それ自体をテーマとし、また、クリエイティブそのものに着目したアニメシリーズ作品というのは、前例がなく、観たことのないものになるのではないでしょうか。

わたしは、学生の時に制作した短編アニメーション作品『おはなしの花(Bloomed Words)』の受賞をきっかけに、卒業後そのままフリーランスのアニメーション作家として、国際映画祭をベースに活動し、仕事としては、ひとりで全ての作業ができる短いアニメーション映像、TV番組のタイトルやTVCM、ミュージックビデオなどの制作をしてきました。

デザインをして、絵コンテを描いて、アニメーションをして、コンポジットをする、という一連の過程を全て一人でやることが多かったため、今回いちばん難しいと感じているのは、自分の脳内イメージを、それらを担当するたくさんの方に、すべて正確に言葉で伝えなくてはならないということです。大規模な分業制作の中では、わたしの説明が伝言ゲームのように伝わっていくので、うまく伝わらないこともたくさんあって、それが大変です。学生時代に映画制作やゲーム制作などを一通り体験したうえ、最終的にひとりでできる短編作家を選択した大きな理由のひとつに、「全て自分でコントロールしたいから」という理由があったことを思い出しました。ただ、必要なスキルはどんな仕事に関わるときも同じだなと、今回も感じています。

URAHARAのプロジェクトに関わって、すでに2年近くになるのですが、こんなに長い期間ひとつのプロジェクトに携わったのも初めてです。普段は3日から1週間、長くても1か月で終わっていく仕事を早い回転でどんどん進めていて(約10年で数百本作りました!)、それはわたしの性質に合っていると思っています。URAHARAの制作は毎日新しくやること・新しい問題が次々と現れるので、飽きる余裕もありませんが、まぁ、早く完成させたいなぁとは、毎日考えています。

制作のメインストリームで、わたし以外に3人の監督的立場の方がいらっしゃいます。メインライターの高橋ナツコさん、演出主任の荒川眞嗣さん、音響監督の本山哲さんです。彼ら3人は、よくぞ選んでくださったと日々感動するくらい、今回本当に彼らでよかったと心から思ったメンバーで、共通して、元々頭がよく理解力や洞察力が抜群なため、わたしの考えを正確にトレースしてくださり、しかもそれを高い技術で巧みに、黙々と、作業に落とし込み、わたしのイメージ以上の素晴らしい形で再現してくださるという、職人気質の持ち主たちです。一緒にお仕事させていただいくことができて、制作者としても、人としても、とても勉強になります。

役割分担としては、わたし(監督)が決めた世界観や方向性を、どうすればいちばんうまく再現できるのか?を作業方針として決め、実際進めてくださるのが、彼らの仕事で、本当に彼ら無くしては作品は成り立ちません。

わたしには、お仕事をお受けするとき、自分にしかできないことをやる、というルールがあります。誰にでもできることをやるのではなく、わたしじゃないと意味がなかった、という作業をして、生きたいと思っています。URAHARAは、わたしと、このチームにしかできない、わたしたちの、新しいオリジナル作品になっていると思います。

商業作品は、商売ですので、人気を得るため、どうしても似通りがちになってしまいますが、新しいもの・違うものを視聴者に提供し、視聴者の経験を育て、アニメーション文化に貢献することが、プロとしてすべきこととも思っていますので、今回はその我々の挑戦を、観てくださるみなさんに受けていただきたい、そして、エンターテインメントとしての新しい楽しみを、純粋に味わっていただけると嬉しいです。ぜひご覧ください。